幼いころに観ていたという懐古ファンだけじゃあなく、
最近では、お子様と一緒に視聴していた若いお母様がたが、
“あら、結構イケメンが出てるじゃないvv”なんて着目し、
そこから意外なファン層を生み出した…なんてな経過もあったのが、
いわゆる“特撮もの”とも呼ばれる、変身ヒーローもので。
何しろ活劇がこなせることが第一条件なので、
どなたもこなたも身体が絞られていて身ごなしの勘もよく。
そんなところからか個性派揃いの発掘の場と注目されてのこと、
今では若手俳優さんの意外な登竜門扱いにもなって……いたりして?(こら)
もーりんはどっちかというと、
幼いころは○谷プロの作品の方に馴染み深かったのですが、
Iの森せんせえ原作の“ライダー”シリーズと“戦隊”シリーズも、
平成版からはコンセプトへの思い切った変革をなしたようで。
殊に、電車が出て来たほど大胆な設定変更を画した『電●』では、
主役が少々弱気な少年だったり、
複数の個性が憑衣してライダーに成り代わる
“着せ替え”方式を取り入れたりと……、
「そんでもって、気に入りの声優さんが出てたんで、
小さい子がいたわけでもないのに、毎週欠かさず見てたんだよな。」
こらこら、ト書きの先を引ったくらないの。
(しかもそんな言い方で…。//////)
そういう筆者のヨコシマな観方はともかく、(笑)
世に出た“誕生”から こうまで歳月を経ても、
今なお 小さなお子様がたが夢中になるヒーローたちであり。
変身するわ、カッコいいマシンや武器を操るわ、
その末に、いかにも強そうな悪い奴らを畳んでしまう顛末が、
素直で無垢なお子たちの心に、それは判りやすく爽快感を呼ぶのだろう。
何かひねったオチでないと納得できないような、
ややこしい大人になっちゃうのは、
もっとずっと後の いつだって出来ることだからね?(おいおい)
「……お。」
節電を叫ばれつつも、
それなりのライティングやデコレーションで、
クリスマス向けの飾り付けも華やかな街並みは、
ショーウィンドウを覗くだけでも何だかワクワクしてくるもんで。
電飾用の豆電球を巻きつけられた街路樹が、
光の帯となって大通りを飾る時間帯にはまだ早い、
放課後タイムの駅前通りは、
ウィンターバーゲンの始まった洋品店や宝飾品店のみならず、
お子様への贈り物にということか、
おもちゃ屋さんの飾りようも特ににぎやかで。
クリスマスまでのケーキ屋さんと違い、
お年玉商戦もあっからなと、
大人みたいに一端(いっぱし)なお言いようをするおちびさんが、
それでもついつい視線を取られて眺めやったのと恐らくは同じもの。
女の子向けの“魔法の何とか”が
付け替え式の宝石モジュールを散りばめ、
宝石箱のように飾られてあったりした背後にあったのが、
「ありゃあ ライダー・レオパードのレプリカじゃねぇのか?」
「……………ルイ?」
いや、俺も“何でそこまで精巧に造ってあるかな”って目が停まったんだがよと。
機巧姿も凛々しく雄々しい、
何とかライダーのフィギュアが、ライダーバイクと一緒に飾られてあったのへ、
ついついお声が出たらしい、連れの大学生のお兄さんを、
こちらもついのこととて…
ややギョッとしつつ、見上げてしまった妖一くんだったりし。
何ですって?わたし何か聞き違えましたか?という意味合いで、
お顔を上げてしまった金髪坊やだったにもかかわらず、
「お前の年頃だったらリアルタイムで観てたんじゃね?」
確か紅色の蝶々が飛んで来たらベルトが反応してサ、
最終変身は クジャクになるのがおかしくね?っつって、
ツンや銀と、首を傾げてたもんだったが……と。
「ツンさんと銀も?」
「おお、放送があった次の日はついつい話題にしてよ。」
葉柱だけなら、
まま坊ちゃんだからなぁと、
こじつけをどっかから持って来れたらしい妖一くん。
ところが、そこへの畳み掛けが続いて襲来したもんだから、
「………………。」
「? どした?」
この小悪魔坊やが、一瞬でも うっと言葉に詰まったというのは、
なかなか滅多に見られる様子じゃあないと来て。
今度は葉柱の側がギョッとしたものの、
「…レプリカってのは実物大の模造品とかに使うんだぞ。」
「お、そっか。」
じゃあ ああいうのは何て言うんだ? フィギュアだ、フィギュア…と。
微妙な方向へ突き進みかかってた会話を、
何んてコトなかったかのように元通りのテンポにねじ伏せて。
ほれ、まだ買い出しがあんだぞと、
坊やが先導しつつ、
行きつけの酒屋を目指して歩き出した二人だったのだけれど。
「……なあ、なんでそんなの知ってたんだ?」
「そんなの?」
店に入って幾刻か。
ミネラルウォーターの徳用パックを何箱とか、
スポーツドリンク用の希釈粉末を何箱とか、
メグさんから言いつかってきたあれこれを
店主のおじさんへと言伝てて。
ついでに、こちらは今日このまま持ち帰る分、
スナック菓子やジュースの類も幾らか買い足すべえと、
コンビニ仕様のあちこちの棚を見て回っていたところで、
こっそりと坊やが訊いたお声へと。
すぐにはピンと来なんだか、
何の話だとキョトンとしたお兄さんだったので、
「だから、さっきのライダーのフィギュアの…。」
「ああ、ライダー・レオパードな。」
繰り返されたのへ、何でだか坊やの方がお顔を赤くし。
こちらはブツブツとコマ切れに並べたのに、
ご丁寧にもフルネームで、
しかもデカイ声で言うなと憤慨してのこと、
口許をうにむにと たわめてしまったのは。
少し離れて見ていたならば、
なかなかに子供らしい反応だと 葉柱のお兄さんにも気がつけたやも知れぬ。
そんな小さい子供の観るもの、俺はとっくに卒業してるんだからな、
幼稚な奴らと一緒にすんな…という種の照れが出たと言いますか。
「だ、だから、何でルイがそんなんに詳しいんだよっ。」
もしかしなくとも中学生にはなってただろにと、
そこもまた解せないらしい坊やだったらしいが、
「だってよ、あのシリーズ、
協賛してるのが ほんだとか かわさきなんだぜ?」
「……………はい?」
思わずの事、それは良いお返事をしてしまった坊やだったのへ、
「だから。
バイクの一流メーカーが、マシンの提供してるんだって。」
俺もサ、
ツンや銀が何でまた
こんなお子様番組、わざわざ観てんのかって
唖然としかかったけどよ、と。
“………何でそんな、凄げぇ嬉しそうな顔すんだよ。”
ずんと上背のあるお兄さんが、
レザーのライダーズジャケットを
キュキュウと鳴らしつつ身を縮め。
背丈の低い坊やの間近で少し屈んで、
お顔を寄せるよにして囁いて来たのは。
さっきと打って変わって、ちょみっと小声になったのは、
いまさら恥ずかしかったからじゃなくって、
大切で大事な思い出話だという意味から、
内緒話にしたかったからに他ならず。
そして、そうなんだというのが判ったのが、
何でだろ、少し口惜しい坊やでもあって。
“ずるいなぁ、銀もツンさんも。”
そんな以前(まえ)から、
ルイとそんなお楽しみを分け合ってたんだ。
俺がヒヨコのお遊戯 イヤイヤやってた頃じゃんか。
中坊がそんなんて、恥ずかしいもんじゃんかフツー。
だってのにサ、
バイクどんだけ好きなんだって話じゃんかよ。
俺なんか、子供離れして我が道を突っ走ってた頃じゃんか。
なのに、なんで中坊だった兄ちゃんらがよ、
子供の観るもんで燃えてんだこのヤロが、と。
さすがに ちょみっと、ムカッと来た坊やだったもんの。
「そいでな。
レオパードの愛車ってのが、
凄げぇカスタマイズのされ方しててよ。」
ああいう特殊な設定仕様だったのに、
エンジンとか ぐるっと覆うフルカウルじゃなかったんだよな。
………なんていう
やっぱり子供みたいなことを、
押さえ切れないワクワク込めて滔々と語るもんだから。
“…………………。”
三白眼をいつもより少し大きく見開いて、
いかにも口許ほころばして語るもんだから。
“…………………ちぇーーーっ。”
しょうがねぇな・もうと、
坊やのほうまでが口許ほころばせている始末だったが。
実はネ、あのね。
『ルイ?
ああそういや、
俺らの話にいつも
“しょうがねぇな、こいつら”って顔してやがってよ。』
『でもまあ、
ああいう話にも付き合って来てたから、
今 あの小僧と気が合ってんじゃね?』
双璧二人の こんな言いよう聞いたなら。
何だとこのやロー、俺はそんなん関心ねぇわと怒ってやりたいってのに、
二人にはそんなお顔で居たって…何それ、話が違わね?と、
きっとお顔が緩んでしょうがなくなると思うので。
聞かせてやりたいような、
武士の情けか、いやいや焦らしと言われるか、
聞かせない方がいいものか……。
〜Fine〜 11.12.07.
*机周りのメモをいろいろと整理していたら、
妙なメモが出て来たんで何とはなく練ってみたお話ですが、
肝心なそのネタは使ってないんで、自分的には“何だこりゃ”です。
「ネタ?」
「おお。
何のアニメか映画だかの余波で調べたネタで、
ヒトってのは自分の体重の3倍までが、
持ち上げられる重さの限度だって聞いたことがあんだって。」
………アニメか映画の余波って部分は余計です。
「だからさ、筋肉質で上背もある兄ちゃんがいたとして、
体重が100キロあったら300キロが限界。」
某アメフト漫画の皆さんのベンチプレスの数値も、
この常識のラインはさすがに越えてはないので、
何となくホッとしたのはここだけの話ですが。(おいこら)
「…ってことは、
よく衝撃映像で特集されてる
食べ過ぎで300キロとか体重増えた兄ちゃんは、
600キロまで持ち上げられるのかな?」
「…………それは無理だろう。」
お後がよろしいようで……。
めーるふぉーむvv
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